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海外旅行ワンポイントアドバイス

監修:奈良県立医科大学糖尿病学講座 教授 

石井 均先生

 

糖尿病だからといって、海外旅行をあきらめることはありません。

時には遠くに出かけたり、旅行に出かけたりすることは楽しいものです。

気分も変わり、ストレス解消にもつながるでしょう。

ただし、インスリン等お薬の治療や、血糖測定を行っている場合には、事前にいくつか準備が必要になります。

ここではいくつかチェックポイントと、ツールをご紹介します。

安心して旅行を楽めるように、是非、ご活用ください。

海外旅行ワンポイントアドバイス:準備編

旅行スケジュールのチェック、対象法等事前の準備はしっかりと

  1. スケジュール等の確認
  2. 旅行中のスケジュールについて、無理がないか確認しておきます。飛行機の出発時間や到着時間、そして食事のタイミングを確認しましょう。 多くの航空会社では、糖尿病食の機内食を提供しています。事前に申し込みをしておきましょう。 同行者の方には、病状や低血糖が起きたときの対処について、事前にきちんと説明しておきましょう。 海外旅行傷害保険等にも加入しておくことをお勧めします。
  3. 医師に相談

     旅行プランについて問題がないか、事前に医師に相談しましょう。 スケジュールにあった薬の調節方法や緊急時の対処方法についても相談しておきましょう。 病状、検査値、インスリン等の種類、回数、量、経口薬名等を英文で書いてもらえるか相談しましょう。 旅行に持参することをお勧めします。(旅先での緊急時に役立ちます。

  4. インスリン等の薬剤や血糖測定器等の準備について

     旅行中必要な量について、医師に確認してもらいましょう。 紛失や盗難にあったときのために、少し多めに、できるだけ分散して持っていくとよいでしょう。

海外旅行ワンポイントアドバイス:移動篇

薬剤・機器は必ず機内に持ち込み、水分補給も忘れずに

  1. 機内への医療機器持込み・使用

     インスリンは、予備も含めて「手荷物」として機内に持ち込みましょう。 貨物室内では凍結する恐れがあります。また、血糖測定器も飛行中の血糖状態確認のため、 貨物室に預けず「手荷物」として携行するようにしましょう。医療機器の機内持ち込みは例外品として認められていますが、 航空会社によって提出書類が必要になったり、使用目的がわかるように明記しておく必要があるなどのルールがありますので、 事前に確認しておくことをお勧めします。

    ※アキュチェックシリーズの血糖自己測定器が飛行機の計器に影響を及ぼさない機器である証明書

    ※インスリン注射や血糖自己測定を行った場合、使用済みの針は機内に放置せず、必ず自宅に持ち帰るようにしましょう。

  2. 移動中の食事

     

    何かの事情で飛行機の出発が遅れる場には、インスリン注射の量の調節とともに、食事についても調節しましょう。天候の状態等により機内食の提供が遅れたときのために、補食や低血糖対策のブドウ糖あるいはそれに代わるもの(ブドウ糖を多く含む飲料など)を必ず用意しておきましょう。また、機内は乾燥しますので、脱水状況の防止や血栓予防のために、充分な水分ぼ級を忘れないようにしてください。セキュリティチェック後、搭乗前に入手うしておくと良いでしょう。糖尿病食の予約ができず通常の機内食を摂る場合は、高カロリー、高エネルギーの場合が多いことに留意しましょう。旅行の前に主治医と相談し、インスリン注射の量についてアドバイスをいただいておくと良いでしょう。 

  3. エコノミー症候群対策

     

    糖尿病の人は、エコノミークラス症候群と呼ばれる急性の肺血栓塞栓症のリスクが高いと言われています。 機内では一定時間ごとに歩いたり、席に座ったままつま先を動かして血液の循環を改善したり、水分を摂る等して予防しましょう。

 

 

海外旅行ワンポイントアドバイス:旅先篇

普段と異なる食事・運動量に注意し、低血糖への備えも万全に

 

  1. 薬剤・血糖測定器等の管理

     使用中のインスリンは常温保存のため、カバン等に入れて持ち歩くことができます。 未使用のインスリンも、短期の旅行期間であれば室温保存でも問題ありません。 ただし、高温では変質の恐れがありますので、直射日光に当てたり車内に放置したりしないでください (詳しくはご使用製品の取扱説明書をお読みいただくか、お客様センターに問い合わせる等でご確認ください。)。 また、血糖自己測定器は普段の外出時と同様に、高温多湿に気をつけケースに入れて持ち歩くようにしましょう。測定器や試験紙の使用可能温度や湿度については添付文書や取扱説明書を確認しておきましょう。

     ※使用済みの針は必ず持ち帰るようにしましょう。

  2. 旅先での食事

     旅行の素晴らしい点は、異なる文化や食べ物を体験できることです。しかし、ほとんどが外食となりますし、 日本での食事とも異なります。ついつい食べ過ぎて決められたカロリーをオーバーしないよう注意し、常にバランスの良い食事を心がけましょう。 逆に、食事が合わなくて少ししか食べられない場合等は、低血糖が起きやすくなります。 「おかしいな」と思ったときは、血糖測定を行ってみてください。 また、長時間の移動等で適正な時間に食事ができない場合の補食や、低血糖になったときのためのブドウ糖あるいはそれに代わるもの(ブドウ糖を多く含む飲料など)、水などは常に携帯しておくようにしましょう。

  3.  旅先での運動

旅先では、観光地巡り等で歩くことが多くなるため、普段より運動量が増える場合があります。水分補給は忘れずに行い、低血糖にも気をつけましょう。また、はきなれた靴をはき、厚手の靴下をはく等して、靴ずれが起きないよう注意してください。疲れた場合は無理をしないで、しっかり休むようにしましょう。

海外旅行ワンポイントアドバイス:ツール集

海外旅行に旅立つ、プリントアウトして使えるツール集です

  1. 海外旅行のためのチェックリスト

    糖尿病患者の方が、海外旅行をされる際に役立つ、チェックリストです。

    ご旅行などに行かれる際は、必要な注意や持って行くものについて、事前に主治医の先生とよくご相談されることを お勧めします。

      PDFをダウンロードする

  2. 海外で使える糖尿病フレーズ集

    海外旅行先で、海外出張先で、いざというときに使える会話表現を集めました。 安心して楽しめる素敵な旅行のために、是非ご活用ください。